日増しにひどくなる怪奇現象
前回の続きです。
田中さんは、C霊能者のいう「守護霊様をお鎮めした御霊箱をしっかりお祀りしていれば、田中さんが訴えていた諸々の怪奇現象は無くなる」という言葉を信じて頼りにして航海の途についたのです。
ところが、田中さんの身内に湧き起こる不思議な感覚は消えるどころか、日が経つにつれて、ますますひどくなってきました。
仕事中だというのに、何の前触れもなく頭の中が空白になってしまったり、自分の体がひとりでにユラユラするようで、なんだか他人の体の様な気がするのです……
そんな状態が日増しに強くなってきました。
けれども、田中さんは船長という立場上、乗組員を指揮していかなければいけませんし、積み荷の安全と航海の全ての無事を期さなければなりません。
そのような重圧に耐えながら、もう一方では耐えがたい心身の不安感にさらされていながら、誰にも言う事がでない苦しみで田中さんは悶々としていました。
疲労は極限に来ているのに、一睡もできない夜もありました。
でも、それだけならまだ良かったのです。
港を出てから10日くらい過ぎた頃、航海日誌を記していた田中さんの耳に、突然、信じられない忌まわしい言葉が響いてきました。
「お前の娘・照恵は2月7日午後5時半、死ぬ」このような声が、はっきり聞こえてきました。
田中さんは、あまりにはっきりと空間から聞こえてきたこの言葉に、何がなんだかわけがわからず、動転してしまいました。
田中さんの娘さんは、17歳で高校生です。
—―夢でも幻でもない、幻聴でもない――どうして!!!
そんな時に田中さんができることは、一心不乱に祈りをささげることでした。
必死に「娘・照恵をお守りください」と船室にお祀りした守護霊にとりすがらんばかりになって、がむしゃらに祈り続けました。
田中さんは、気が狂いそうになっていました。
しばらくすると田中さんの乗っている船は、フィリピンのミンダナオ島に寄港しました。
そこで、とるものもとりあえず田中さんは、家族に手紙を書きました。
特に娘さんの照恵さんには、日々の生活の中で危険なことをしないように、体に気を付けるように、また、くれぐれも車の事故には細心の注意を払うようにと故国にあてて手紙を出しました。
ところが、あの声は続きました、というより、ますます激しくなってきました。
刻々と娘さんの死の予告された日が近づいてきました。
田中さんは、気が狂いそうでした。
娘さんの死の予告をされている前日に、あの恐ろしい声が聴こえると共に、目の前に娘さんが、ものすごいスピードで疾走してきた大型オートバイと、それに巻き込まれるようにして路面を十メートル余りも引きずられていく娘さんの痛ましい姿を見せつけつられました。
「アーッ!!」
田中さんは、カラーであまりにもリアルに映って来たその映像に対して、思わず虚空で両手をつかみ絶望的な悲鳴をあげていました。
田中さんはいてもたってもいられず、娘さんの安否をたずねる家族あての電報を、即座に船舶無線を使って本社に打たせました。
家族からは、折り返し即座に照恵は元気に学校に行っているという返事がきました。
それでも田中さんは気が休まることなく、半狂乱になって船室にお祀りしてある御霊箱にとりすがるように祈り続けました。
運命の予告の当日は、全く生きた心地がせず、気ちがいじみた心理状態で迎え、午後5時半、そんな田中さんにまたあの空間から、からかうようにあの忌まわしい声が勝ち誇ったような調子でふってわいてきました。
「見よ、娘の死の様を」そこには、昨日見たのと全く同じ光景が展開されていました。
田中さんの目の前にはパノラマのように、あの立体交差点と、オートバイにズルズルと巻き込まれた娘の悲惨な姿が生々しく映ってくるのでした。
その夜、まんじりともせずに明かした田中さんは、翌朝早く、本社からの船舶無線で娘さんの死を知らされました。
次回に続きます。
春馬さんの魂
前回の続きです。
春馬さんは、あれだけ働いて月給制だったといいます。
長々と書きましたが、私が言いたいのは、最後まで反日勢力に負けず、正義を貫き、前向きでしたし、人として最高の生き方をした春馬さんの魂をみてみました。
わたしとしては、あれほど神の御心に沿った生き方をしていれば低くても神界レベルには達していると思ったのに霊界でした。
私の見方が外れていなければ、霊界です。
私は拍子抜けしました。
凡人の私には、ここがわからないのです。
今まで長々と春馬さんのことを書いてきたのは、ミーハーではなく、春馬さんの生き方が人間界から見ると、人としては最高に素晴らしい生き方だったと思います。
正義を貫き、決して最後まで自分の魂を売ることはなかった、こんなことはなかなかできることではありません。
誰にでもできる生き方ではありません。
あの状況では大抵の人は精神を病むか、強いものに巻かれるかだと思いますし、私ならすぐに巻かれてしまう自信はあります。
それなのに、霊界って何!?と思いました。
これが大霊界なのでしょうが、大霊界の基準とはどんなものなのか、凡人の私には未だによくわかりません。
ある人には、それは神の力でなければ上がることはできない、と言われました。
たぶんそうなんでしょうね……
次回に続きます。