佐藤さん気が付く
前回の続きです。
佐藤さんは、A霊能者のところから帰ってくると、そのたびにぐったりして何日も寝込んでしまうようになってしまいました。
一方、A霊能者のもとに詰めかけた病気依頼人達は
、ほとんどの病気が治って、A霊能者にお礼を言いながら祈祷料も払って帰っていきました。
佐藤さんは、A霊能者の治療能力がさえわたっているという噂を耳にしました。
佐藤さんは、それにしても私の病気はいつになったら治してもらえるのか、A霊能者を信じ切っていた佐藤さんも、月日がたつうちに、だんだん不審に思い始めました。
佐藤さんが、A霊能者のもとに通い始めて、もう一年以上もたっているのです。
それなのに、病気は治るどころか、ますますひどくなっています。
会社も休むことが多くなってきています。
佐藤さんが気分が悪くて寝ていると、度々A霊能者から電話がかかってきました。
そんな時、具合が悪いから今日は行けない、と断ってもA霊能者はしつこいのです。
どうしても今すぐ道場にでてくるようにというのです。
でも、道場に行けば、また御祈祷依頼の病人たちの病気を引き受けてしまう事は目に見えていました。
それに、佐藤さんの病気は、いつまでたっても、A霊能者は治してくれないのです。
それにしても、佐藤さんは、A霊能者のあまりに熱心と言うか強引な自分に対する呼び出しに、疑問を感じるようになっていました。
—―ひょっとしたら……?
まさか、と思いながらも、佐藤さんの心にA霊能者に対する疑惑の影を払いのけることができなくなっていました。
—―ひょっとしたら、他人の病気をそっくりそのまま引き受けてしまうという自分の特異体質を悪用されているのではないか、祈祷依頼人の病気は、A霊能者の祈祷の力ではなく、病気の原因となっている憑依霊が自分の体に移行することによって治っている、というのが事実なのではないか……。
そんなふうに思いたくはなかったのですが、佐藤さんに対するA霊能者のやり口には、そんなふうに思わせる節があまりにも多くあり過ぎました。
次回に続きます。
画面から人の想いが伝わる
前回の続きです。
佐藤さん、気が付き始めましたね。
このA霊能者のところに病気を治してもらいに行っているのに、行くたびに別の病気をもらってきたら、たまったものではないですよね。
しかも重い病気をたくさんもらっただけでなく、そのたびに祈祷料も払っていたでしょうから……
佐藤さんもひどい霊能者にカモにされてしまいました。
こういうのを前々回の記事に、初代会長先生がテレパシー現象と書いています。
テレパシー現象とは、精神感応、すなわち、言葉や文字を使わずに心と心で交流しあう精神の感応に対して肉体の感応というものです。
私の場合は、テレパシー現象ではありませんが、動画等を見ていると、画面に出ている人の想いが伝わってくる時があります。
毎回必ずというわけではありませんが、画面に出ている人の想いが強い時だと思います。
最近の私は、ほとんどテレビを見ないので、パソコンやタブレットで動画を見る事がほとんどです。
印象に残っているのは、三浦春馬さんの代表的なミュージカル「キンキーブーツ」に関係した人2人です。
三浦春馬さんの出演をした「キンキーブーツ」のDVDを販売してほしい、とファンが署名活動をしたのですが、元がアメリカのものなので著作権はアメリカにあります。
日本版のDVD化はできないという事でしたが、その代わりアメリカから22分弱の動画が流されました。
動画の内容は、最初は「キンキーブーツ」のアメリカ人スタッフ5人が、春馬さんへの追悼の想いを語っていました。
その後に、春馬さんの出演している場面の動画が流れます。
そのアメリカ人スタッフの中に、アオシエイトコレオグラファー(振付)のラスティ・モーワリー氏という人が、春馬さんがいかに高レベルの表現者であるか、そして、人間的にもいかに素晴らしい人であるか、という事を熱く語っていました。
彼が、熱く語っているうちにだんだん涙目になってきました。
そのうちに、私の胸の中が何だかわからにけれど、何とも言えない切なく胸が締め付けられるような悲しい気持ちになりました。
これはいったい何なんだろうと思っていましたら、パソコンの画面に映っているラスティ・モーワリー氏の想いなんだという事に気が付きました。
モーワリー氏は、春馬さんのことが大好きだったようです。
彼のインスタには、沢山の春馬さんの写真が載っています。
そして、どの写真にも春馬さんの隣にはモーワリー氏が映っていました。
「キンキーブーツ」のメンバー達と一緒に食事をしている写真もたくさんありました。
もう一人は、春馬さんとW主演をした小池徹平さんです。春馬さんは、「キンキーブーツ」の初演の時に、杉村春子賞を受賞しています。
その受賞した時に、名前を忘れましたが、一緒に受賞した人がいました。
その人が、自分の番組のゲストに小池徹平さんを迎えたときに、春馬さんと同じ時に杉村春子賞を受賞したことがとても嬉しかった、と熱く語っていました。
小池徹平さんは、それに対してニコニコ笑顔で、短い返事をしていました。
それを見ていた私の胸の中に、これ以上大きな声や長い返事をすると、今にも彼の想いが堰を切って出そうで、やっとこらえている想いが伝わってきました。
そうなんです、彼は、もう少ししたら大声で泣きだしそうな春馬さんへの想いを必死で抑えていたのです。
かん口令を敷かれているようで、春馬さんへ想いはマスコミではほとんど言えない分、どう思っているのかと思っていたら、小池徹平さんも辛かったんだ、ということがよくわかりました。
このように、画面の人の想いが強い時に、私の胸にひびいてくるようです。
アメリカからの動画も毎日数回見ていますが、モーワリー氏の想いは、見始めて半年ほどは見る度に感じましたが、今ではほとんど感じなくなりました。