夜叉界の様子
前回の続きです。
「しばらく待っててください」
隈本確先生は、机を隔てて目の前に座っている木戸さんにそう言うと、即座に霊視の状態に入っていきました。
隈本確先生は、静かにこの木戸さんを通して、まだ見たこともない彼の奥さんを霊視をする仕事にとりかかりました。
ものの数秒たったころ、隈本確先生の胸中には、すでに木戸さんを中心とした霊界の模様が、はっきりとくりひろげられてきました。
そこで隈本確先生は木戸さんを中心とした隈本確先生の胸中の霊視において、隈本確先生自身の想いのみを、深く、深く、木戸さんの奥さんの方へと向けていきました。
と、なんとしたことでしょうか。
隈本確先生の心眼には、まったく異常な世界が展開してきたのです。
そこは、九州なら別府、雲仙に見られるような噴煙噴き出す地獄地帯とでも言ったらよいのでしょうか。
いや、それとも違う、隈本確先生の想念界に映って来たその異常な世界は、この世のどこを探しても、決してありえない世界に違いありませんでした。
それは、まさしく死の世界だけにしか存在しない、おぞましいばかりに陰惨で、異様な色彩に塗り込められた世界でした。大地は、暗い紫がかった嫌な灰色であります。
そして、その所々がこんもりと盛り上がっており、真ん中には直径5センチから10センチぐらいの小さな穴が開いています。
見れば、その穴からはグスッグスッと、これまた紫がかったいやらしい灰色の煙が噴出しています。
心眼をずっと遠くまで凝らしてみれば、大地のあちこちに小さな噴煙口は口を開け、要するに、地面という地面は全てグスグスと紫煙を吐き出す穴だらけの状態なのでありました。
そして、もっと遠くの様子までとらえようとする隈本確先生の霊眼に、時々紫がかった噴煙が立ち込め、視界を遮っていました。
それでも隈本確先生は、なおも、なおも心眼を凝らしました。
—―いた!木戸さんの奥さんがいた!隈本確先生はようやく、木戸さんの奥さんの映像をとらえることができたのです。
しかし次の瞬間、隈本確先生は深い入神状態にありながら、そのあまりのありさまに仰天しました。
次回に続きます。
心の終活
終活という言葉があります。
若い人には今一ピンとこない話かもしれません。
私も残り少ない人生になってきましたので、考えるようになりました。
ロンドンブーツ1号2号の淳氏のお母さんの最後は、見事でした。
淳氏のお母さんは看護師さんだったそうです。
「お父さんじゃ、片づけは無理だから」と言って、がんになってから闘病のかたわら、自分の身辺整理を始めて最後に亡くなる前は下着が1枚だか2枚だかしかなかったそうです。
私も見習いたいと思い、今も少しづつですが片づけています。
人間としての終活は、今頑張っていますが、私はもう一つ心の終活があると思い始めました。
これを終活と言っていいのかよくわかりませんが……
日神会で教えてもらった霊界の様子を知ると、肉体がなくなったら霊魂だけになり、最初は幽界に行って、そこから自分の霊魂に合う霊界に行くわけです。
肉体を脱いで、その時の想念が大切だと言われています。
亡くなる瞬間に、辛く苦しくても気持ちを瞬時に切り替えることが大事なんだと思います。
ということは、一人で気持ちを切り替えなければいけないということになります。
人間界にいる間は、苦しい事や悲しい事等があっても、いろんな人に相談をしたり、話を聞いてもらったりして気持ちの切り替えができます。
でも、霊界に行ったら全て自分一人で気持ちの切り替えをしなければなりません。
それも、辛くても苦しくても想いを神の御心に沿ったものにしなければ、神の世界には行けません。
ということは、人間でいる間にそれができるようになっていないと、自分の感情に流されていると、その想念に見合ったところに行くわけです。
ということは、人間でいる間にどんな状態にあっても、前向きで明るい心にできるようにしていなければいけないのだと思います。
私は子どもの頃から、気持ちの切り替えがとても下手でした。
今でも下手で、何かイヤなことがあると三日くらい、自分の感情に流されて前向きになるのに時間がかかります。
その間、霊流をひくのに普段なら一時間余ですが、その倍もかかることがあります。
そのくせ、霊流をひく力はとても弱くなっています。
したがって、時間を無駄にすることも多いです。
だから、できるだけ早く気持ちの切り替えができるよう気を付けています。
強制浄霊(刹那神技かな?)をいただく方法もあるようですが、私が一番切り替えやすい方法は、自分の想いが天命界にあると思いきることです。
そうすると、不思議と心が安らぎます。
今のところ、それが一番良いのですが、持続が難しいです。
だから、気がついたら即私は天命界にいる、と思うことにしています。
これが私の心の終活です。