前回の続きです。
あなたには先祖がつくった色情霊が憑いている
すると、その先生は、しばらく瞑目してから言いました。
「ああ、あなたの霊の災い、霊障ですね。
背筋がゾーッとする、ゾーッとする、ゾーッとする……、
ゾーッとする雰囲気をもった強い悪霊がついていますねェ。
これはあなたがつくった因縁ではなくて、先祖がつくった色恋、色情関係の恨みの霊ですよ。
ウーム、四つぐらいついておる。
性的な欲求を非常に強くもっておるようだ……。
あなたは、本来は腸が悪くありませんね。
悪霊の力が強いうえに、それに負けて、腸がやられてしまっている。
ところで、結婚はしているんですか」
「いえ、体がこんな状態ですから、とても結婚どころではありません一日一日、着生き抜くだけで精一杯です。
第一、夫婦生活に耐えられません」
「なんだ、しょうのない奴だなァ、そのグナグナの体は男として失格だなァ、結婚するか、そうでなければ恋人でもできればこんな霊は来なくなると思うんだが」
「はあ、以前は、私にも恋人がいたことがありましたが、その頃も、やはりこんな具合でした」
「ダメだ、とにかく弱いなァ、その色情因縁がらみの悪霊に対しては九字も切る方法を教えるから、就寝中、悪霊に襲われたときに実行してみなさい」
「はあ、でも先生……、先生と同じ会に属していらっしゃるやはり女性のA先生は、わたしには、立派な男性の高級背後霊が憑いている、とおっしゃっています。
色情因縁のことは、何も聞いていませんでした」
「エッ、とんでもない。A君には、あなたの後ろにいる色恋がらみの悪霊が見えなかったんだ。
悪霊を高級背後霊と間違えたのさ。
A君には、そんな霊能力はないよ。
とにかく、A君の霊能力ではどうにもならん。
今後、A君の集まりには行ってはならない」
「では、先生、私の背後霊はどんなふうにしていますか。
何か、私に忠告するとか、言っていませんでしょか……」
「みぃんな遠くへ離れて、絶縁状態になっておる。
とりあえず、腸のための飲み物を世話するから、用いなさい。
それから、今後は、ずっとわたしの集まりに出席しなさい。
他所へは行かないように」
というわけで、私は、それから暫く、その先生の集まりに出席していたのですが、先生は極たまに小さな注意事を言ってくださるだけでした。
それに、腸の具合も一向によくなりませんでしたし、霊的現象もおさまりませんでした。
それで、次第に私は、その霊媒の先生から遠ざかってしまったのですが、未だに色情因縁があると言われたことが、忘れられません。
やっぱり、私の腸の原因は、色恋がらみの悪霊が原因しているのでしょうか……?」
青白い顔をした溝口さんは、ここまで語り終えると、いかにも不安げに隈本確先生の顔を覗き込みました。
しかし、隈本確先生と言えば、溝口さんの体験談を聞きながら、高名な霊媒の先生なる人物の、霊能者としてのいい加減さに心の中であきれるばかりでした。
真実は遠い
私も40年近い間、超神霊のエネルギーをいただいているうちに、以前はわからなかったものも感じるようになってきました。
その感じなかったころは、真実は一つだから誰でもいつかはその真実にたどり着くものだと、一人で勝手に思っていました。
そしていつか私も真実にたどり着きたいと、でも、大霊界は想いだけの世界です。
人によって想いは違います。
一人一人が全く違う事がわかりました。
時々色んな人達のブログや動画をを見ていても、同じ事象に関して私と同じに見える人や感じる人や、全く違った結果を言う人もいます。
そういう経験をしてから、真実は一つだという事は本当だとしても、なかなか真実にはたどり着けないものだと実感しました。
自分が感じることがあっても、それが真実なのか自分の願望や思い込み、過去に入っている情報を無意識のうちに引き出しているのか、今の私にはわかりません。
この記事の高名な霊媒の先生なる人物も、けっこう願望や思い込み、過去に入っている情報から無意識のうちに引き出しているのではないか、と思います。
>「エッ、とんでもない。A君には、あなたの後ろにいる色恋がらみの悪霊が見えなかったんだ。
悪霊を高級背後霊と間違えたのさ。
いやいや、霊能者たる者、悪霊と高級背後霊を間違ることはありえないでしょう。
あ、でも悪霊が高級背後霊のふりをすることもありますから、あり得るかもしれませんが……
厄介なのが、その霊媒の先生も自分の言っていることは真実だと思い込んでいることと依頼人もまたそれを真に受けていることだと思います。
あらためて、隈本確先生は凄い霊能者だと思います。