2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧
汚泥の池から出ることができた霊人たち 前回の続きです。 その間、濁王界の霊人たちは、まったく無言なのです。 汚泥に塗り込められた顔面からも、特別な表情はうかがえません。 すでに夜叉界において、700年~800年という悲惨な歳月を過ごしてきた彼…
汚泥の中に長くいられない怪獣 前回の続きです。 さすがの隈本確先生も、そのドブドブとした汚らしさと激しい腐臭に、思わず鼻をおさえたなり、顔を背けようとしました。 が、その瞬間、真っ黒い池の面がむっくりと盛り上がりました。 隈本確先生の目は、そ…
濁王界に入る 濁王界に住む霊たちは、夜叉界の年代をすでに卒業したもので、現代をさかのぼること千年から三千年の昔に他界した人たちの霊魂です。 ある晩、隈本確先生は隈本確先生自身の肉体を強度の霊媒体質に切り替え、自己の魂の親さんにお願いして、濁…
夜叉界の住人と波長がある怖さ 前回の続きです。 霊界に存在する、この凄絶なる暗黒世界を探訪する度に、隈本確先生は何とも言えない忌避感と嘔吐すら覚えたものです。 また、これらの夜叉界に住む霊人たちは、現界に住む人間と何かのはずみでちょっとでも波…
夜叉界の住人の姿と行為 前回の続きです。 夜叉界にうごめく霊たち、その容貌たるや、凶悪と言おうか醜悪と言おうか、まことに筆舌につくせぬ有様です。 中には、怪談映画にでも出てきそうな、まったく化け物面をした霊もいます。 例えば、眼球が全くなく、…
通じない妖怪には一気に除霊 前回の続きです。 隈本確先生は、ジーッと心の目を凝らすと、その妖怪が発する想念界に立ち入って、静かに妖怪の観察にかかりました。 だめだ、だめだであります。 この妖怪の発する想念では、隈本確先生がどのように霊界の実相…
動物霊の正体 前回の続きです。 隈本確先生は、この大型の犬かと見まごうばかりの妖怪も、必ずや人霊に相違ないという判断を下しました。 そうして、隈本確先生は自分自身をさらに強度の霊媒体質に切り替えて、より深い霊視の状態に入っていきました。 隈本…
夜叉界での木戸さんの奥さんの様子 前回の続きです。 なんと、木戸さんの奥さんは仰向けにひっくり返り、キツネの様な妖怪に髪を一束にギュッとつかまれたまま、噴煙立ち込める大地の中をズルズル、ズルズル引きずり回されているのでした。 木戸さんの奥さん…
夜叉界の様子 前回の続きです。 「しばらく待っててください」 隈本確先生は、机を隔てて目の前に座っている木戸さんにそう言うと、即座に霊視の状態に入っていきました。 隈本確先生は、静かにこの木戸さんを通して、まだ見たこともない彼の奥さんを霊視を…