前回の続きです。
給料のほとんどが行者さんに
——どうしよう!――どうしよう!
この行者さんに嫌われて、もう来るな、なんて言われたらどうしよう!
そうしたら、この屋敷に鎮まる大好きな埴山姫之命に全く会えなくなってしまう!
隈本確先生は、おろおろしながらも、何とかこの行者さんの心をつなぎとめるための苦肉の策を考えなければなりませんでした。
そして、隈本確先生がしたことといったら、この行者さんにこれまで以上に全品をつぎ込み、何でもかんでも、行者さんの言いなりになることでした。
隈本確先生は、行者さんが食べたいといえば、目の下40センチも50センチもあるタイを直接水産場から買ってきてうやうやしく献上しました。
肉が好きだと言われれば、大枚をはたいて最上のロースを買って献上しました。
映画が見たいといわれれば、車でお迎えに上がり、映画が終われば自宅でごちそうのもてなしをしました。
こんな調子で、毎日毎日「あれがしたい」「はい」、「これが食べたい」「はい」というわけです。
隈本確先生の給料のほとんどはこの行者さんにつぎ込まれてしまったのです。
けれども、そんな中にありながらも行者さんの屋敷に鎮まる埴山姫之命は、隈本確先生に対して奔流のごとく霊流を流され始めました。
引き換えに、この行者さんには、まったく霊流が流れなくなってしまったのです。
今にして思えば、隈本確先生の埴山姫之命に対する純粋な心の度合いが深かったという事にほかならないのでこの行者さんはますます隈本確先生を嫌い、憎しみ始めたのです。
そして、隈本確先生の神霊能力の増大に対する行者さんの心のわだかまりは、自分自身が神の代でありながらも、その守護神の霊流を、自ら断つ結果となってしまったのです。

神霊の世界は厳しい
>隈本確先生がしたことといったら、この行者さんにこれまで以上に全品をつぎ込め、何でもかんでも、行者さんの言いなりになることでした。
こうなりますよね。
この状態は、隈本確先生も辛いし行者さんも辛いですよね。
おそらくですが、行者さん自身も本当のことはすべてわかっておられたのでしょう。
でも、どんなにしても埴山姫之命への想いの強さ深さは隈本確先生にはかなわないという事は、わかっていおられたのでしょう。
でも、埴山姫之命はしっかりと見ておられます。
神霊の世界は厳しいです。
この記事とは全く関係のない話ですが、最近、私の近所に起きた話です。
10年ほど前に40代くらいの男性が二階建ての家を新築して、引っ越してきました。
引っ越しをしてきてからも、ズーッと一人暮らしでした。
最近、その家に救急車とレスキューの車と警察官が数人来ていました。
その男性の家の中では、応答がないのか、二階の窓を割って入ったようです。
その後、救急車はサイレンもならさずいなくなっていました。
何事があったのかよくわかりませんでしたが、後から人から聞いた話では、職場の人がその男性と連絡が取れないから見てきてほしい、と警察に連絡があったようです。
そして、警察が行ってみたけれど応答がないので、救急車とレスキューが来たようです。
ところが、家の中に入ってみると、男性が玄関で倒れており、すでに亡くなっていたそうです。
私の家の近所は、どの家の人たちも皆さん、あまり深入りをしない程度の付き合いしかしていませんでした。
男性の一人暮らしなので、近所の人たちもほとんど接点がありませんでした。
今回のこの男性の件で、考えさせられましたが、では、現実に何ができたのかと考えてもよくわかりません。