前回の続きです。
神霊治療でもできないこと
語り終わって寂しそうに肩を落とす初老の母親を見ていると、こちらの胸まで痛んでくると隈本確先生は書いています。
わざわざ遠方から連れだってやって来た親子です。
隈本確先生としても、できるとことなら本当に何とかしてあげたいと思いました。
しかし、神霊治療と言えどもオールマイティーではありません。
これまで、ノイローゼ、不安感、うつ状態など、多くの精神的障害の治療にもあたってきました隈本確先生でしたが、この川井さんのような状態では、はっきり言って絶望的でした。
顕在意識、潜在意識ともに侵入霊にすっかり占領されてしまった完全発狂の状態が永続的に続いている場合には、治療不能なのです。
が、川井さんは隈本確先生の神霊治療になお一縷の望みを託して、結果はどうあれ、とにかく治療を受けたいと言います。
そのたっての願いで、隈本確先生も、気持ちを立てなおして、娘さんに治療を施すことになりました。
その間約五分、神霊治療の間中、この娘さんは、まことに神妙な様子で、おとなしくしていました。
そして、治療後、目の異様な光もとれ、表情も普通になったのです。
隈本確先生が「気分はいかがですか」と尋ねると、「大変良い気分です」とまで答えたのでした。
しかし、ものの1~2分すると、この娘さんは、また、元の狂気の状態に戻ってしまいました。
思案に隈本確先生は、胸中深く、ご守護神におたずねしました。
「この女性の発狂の神霊治療、いかがいたしましょうか」
ご守護神曰――
「当人の魂が完全に肉体より離脱いたし、霊界入りした折、瞬時にして他者霊が入り込み、この凡夫の全人格を完全に支配してしまっている。
このように、凡夫と他者霊とが完全に融合している現在、この女性凡夫による所の他者霊を強引に引きはがそうとすれば、この女性凡夫の生命はたちどころに失われるであろう」
このようなお答えをいただいた隈本確先生は、この娘さんの神霊治療を断念しなければなりませんでした。
やはり、無理でした。
今や一縷の望みも断たれ、いっそう寂しそうな様子で、娘さんの手を取りながらひっそりと帰っていく、この初老の母親の後ろ姿を見送りながら、隈本確先生はたまらない気持ちになっていました。
神霊にまつわる、世にも忌まわしく、むごたらしい事件でした。
隈本確先生は、同じ神霊を扱う世界に住むものとして、全くやりきれない怒りを感じたものでした。
青い眼の光
>神霊にまつわる、世にも忌まわしく、むごたらしい事件でした。
隈本先生は、事件とまで書いています。
確かにこれは事件ですね。
あまりにもひどい、人を一人恐怖に陥れて殺したようなものですが、現在の世界では罰することができません。
>治療後、目の異様な光もとれ、表情も普通になったのです。
これから書くことは、今回の記事とは全く違っている話ですが、今から十年以上も前の話で以前も書いたことがありますが、娘が初詣に行って帰って来た翌日の朝、トイレの前で倒れことがあります。
すごい物音がして、慌てて駆けつけるとトイレの前で倒れいました。
即、隣の部屋の夫の布団に寝かそうとすると、全身硬直しているのでなかなか寝かすことができませんでした。
その時の娘の目が、青く光って一本の線のようにその光がのびていました。
私も、あんなに目から青い光が一本の線のように出るという様を見たのは初めてでした。
今思い出しても、気持ちが悪い光でした。
それと同じような感じなのでしょうか。
そして、なぜあんなに青い光が物理的に可能なのか、それとも私だけが見えたものなのかわかりませんが……
その時は、家には私と長男だけだったのです。
長男は、寝ていて気がつかなかったようです。
娘を布団に寝かせながら、娘に他者浄霊をしました。
他者浄霊をしていると、お遍路さんの格好をした女性が私の胸に浮かび、シャンシャンという鈴の音が大きく聞こえていたのが、少しづつ遠ざかって小さな音になり聞こえなくなりその女性の姿も見えなくなりました。
それからしばらくしてから娘が意識を取り戻しました。
娘は、トイレの前で意識を失ったまま、そこからの記憶が全くないと言っていました。
前日に初詣に行った後から気分がすぐれなかったから、おそらくその時についてきた霊ではないかと言っていました。
あの青い光を目から放った状態の娘さんを、毎日見なければならないというのは、母親にとっては辛いだろうと想像します。
それにしても、私が霊流を流すことができたからいいものの、同じような目にあって神霊治療の存在すら知らない人だったら、本当に困ると思います。
あの時、しみじみ日神会に出会って、神霊治療ができていて良かったと思いました。